1. 高専の概要
一般の高校教育課程と大学課程とを,5年間に集約して学習を行う,技術者育成の専門学校,それが 高等専門学校( 高専 ) である。 現在,「 国立高専 」 は全国で55校 ( 平成16年度現在 ) ある。 高専には工業,商船,電波といった種類があるが,ほとんどは「工業高専」である。 このほか,高専には公立,私立の高専 ( 全8校 ) もある。
高専に所属するのは5年間であるが,いくつかの高専に併設されている 「 専攻科 」 に受験し,2年間さらに学習することで,大学卒業と同等の資格( 学士 )を受験することが出来る。また,長岡と豊橋にある 技術科学大学 に進み,修士課程,博士課程を受けることも出来る。 その他,一般大学への編入 や 就職 といった進路がある。 詳しくは,各高専のホームページを参照してもらうと良い。
なお国立高専は,平成15年7月に国会にて可決された 「 独立行政法人国立高等専門学校機構法 」 に基づき,平成16年4月1日をもって,国立大学と同じく 独立行政法人化 された。高専の場合は,単独で運営責任を持つようになる国立大学と異なり,全国の国立高専がひとつの 「 独立行政法人国立高等専門学校機構 」 によって運営されている。
2. 福井高専とは
全国にある国立高専のうちのひとつ,福井高専 ( 福井工業高等専門学校 : Fukui National College of Technology ) は,工業系の国立高専である。 この福井高専には, 機械, 電気電子(旧:電気), 電子情報, 物質, 環境都市 の5学科がある。 機械は機械全般,電気・電子情報は電気・電子・情報関係( 電気は電気,電子情報は情報関係に比重がある ),物質は化学関係,環境都市は土木関係( 近年は環境都市工学関係 )を学習する。
また,平成17年度入学生からは,2年次に所属学科を選択・決定する工学基礎コースが設けられた。募集時には仮に所属学科を指定して受験し,1年次は他の学生と混ざって( 混合学級として )学生生活を送る。このため,1年次のクラスはコース導入以前の「○○学科1年」というクラス名でなく,「F○」(○はクラス番号,1〜5)という名前で区別される。工学基礎コースはまだ新しい受験区分であるので,詳しくは福井高専のホームページなどを参照して頂きたい。
福井高専についての詳細は,次の節,または福井高専のホームページへ。
3. 福井高専での学習について
福井高専には現在,機械,電気電子(電気),電子情報,物質,環境都市の5学科がある。 各学科の特色を簡単に説明する。
◇機械工学科 ( Department of Mecanical Engineering ) |
その名の通り,機械専門の学科である。 機械を動かす上での基礎知識 ( 工業力学,熱力学,流体力学など ) や,それを動かすための知識 ( 機構学,設計など ),またはコンピュータ制御を行うための知識 ( 自動制御,電子工学など ) を習得する。 |
◇電気工学科
( Department of Electrical Engineering ) ※平成17年度より 電気電子工学科 ( Department of Electrical and Elecrtonics Engineering ) |
電気回路や通信,電気機器といった電気関連を専門としているが,他に計算機工学や数値解析といった情報関連分野も学習する。 |
◇電子情報工学科 ( Department of Electronics and Information Engineering) |
情報処理の他に,コンピュータに関する様々な知識 ( C言語,アセンブラ言語,OSなど ) を学習する。 また,コンピュータ内部に関する知識 ( 論理回路,電子回路など ) や,それらに関連する電気分野,機械分野の知識を得る。 |
◇物質工学科 ( Department of Chemistry and Biology Engineering ) |
化学分野を取り扱う学科で,基礎化学 ( 物理化学,無機・有機化学 ) を習得した上で,材料,生物に関する化学分野 ( 3年次に選択 ) について専攻する。 |
◇環境都市工学科 ( Department of Civil Engineering ) |
環境分野と土木分野について専攻する学科である。 地学や地盤工学・水理学,測量などといった,環境都市工学に関する諸分野を専攻する。 |
各分野では,座学( 通常の授業 )の他,実験 を行って,各個人が結果を考察する,報告書として提出する,といったことを行う。
また,全学科共通の 一般科目 では,数学,理科,英語の各分野を中心として,基礎的,応用的なことを学習,実践する。 なお,一般科目の知識は専門分野でも何かと必要になる場面があるので,「たかが一般科目」と割り切らずに,しっかりと習得しておく必要がある。例えば、理数系科目は専門科目の基礎となり、国語・英語など語学系科目はコミュニケ―ション、表現能力( 論文や報告書などに必須 )を養う。
なお,各科目の学習時間は 50分または100分 を一時限としており,一日3〜4時限(100分単位で)の時間が割り当てられている。また, 高専における各科目の点数と評価は以下のようになっている。 義務教育である中学校と異なり,高専では各科目を修了したと認定されるには 「単位」 というものが必要となる。 高校・大学でも同じだが
進級・卒業するには要求される単位数が必要なこと
単位取得に必要な点数が下の表のように定められていること
学年末で必要単位数が取れなかった場合,留年する
という点に注意したい。各科目の単位は授業数により異なるが,いずれの科目も単位を取得しなければ,修了したと認められない。また,将来進学を考えている場合は,単位取得のみならず上位の評価を受けることが望ましい。
高専の各科目の評価点 点数 評価 備考 80点以上
優 できれば目指したい水準 66〜79点
良 60〜65点
可 単位取得に必要な最低水準 59点以下
不可 不可科目が一定数以上の場合,留年
4. 福井高専の学校行事
福井高専では,一年を通して様々な行事が行われる。
学習関係では,前期 ( 4〜9月 ) と後期 ( 10〜3月 ) について,前期中間(6月上旬),前期期末(9月下旬),後期中間(12月上旬),学年末(2月下旬) の4試験が行われる。
そのほか,学習関係以外でも,新入生オリエンテーション,新入生歓迎会 ( 主に1年 ),体育祭,高専祭,工場見学旅行(3年)などの各行事がある。
Copyright (c) 2002 T.Shimada. All rights reserved.
最終更新日: 2007/11/23